NAS を買う時、家庭用・SOHO 用途で最初に候補に上がるのは Synology か QNAP の2強です。「どっち買えばいいの?」という相談を編集部でも何度も受けています。
両方を3年以上使い込んだ立場から、2026年時点の判断軸を共有します。結論を先に書くと、「迷ったら Synology、自由度を求めるなら QNAP」です。
アプリ・ソフトウェアの完成度
Synology(DSM) はオールインワンで完成度が高い。Synology Photos(家族写真の AI 整理)、Synology Drive(Dropbox 代替)、Synology Note Station(Evernote 代替)、Surveillance Station(防犯カメラ管理)など、自社製アプリの品質と日本語対応が整っています。
特に Synology Photos は、Google フォトに近い「人物・場所・物の自動分類」が動き、家族写真の管理用途で頭ひとつ抜けています。
QNAP(QTS / QuTS hero) は機能数で勝ります。Container Station(Docker)、Virtualization Station(仮想マシン)、HDMI 出力でテレビに直接 4K 動画再生など、マニアックな用途に強い。一方、写真管理の QuMagie は Synology Photos と比べると AI 整理の精度や UI 完成度でやや劣ります。
家庭用なら Synology、技術好きなら QNAP、というのが大雑把な使い分けです。
ハードウェア性能
QNAP は同価格帯で見るとハードウェア性能が一段上です。例えば QNAP TS-464(約8万円)は Intel Celeron N5095、メモリ 8GB、2.5GbE x2、PCIe スロット搭載。同価格帯の Synology DS423+ は Intel Celeron J4125、メモリ 2GB、1GbE x2 です。
「同じ値段でスペックが良い」のは QNAP の魅力ですが、ソフトウェアの完成度で Synology が補っている形です。
サポート・情報量
Synology の日本語サポートと情報量は圧倒的です。日本語マニュアル、日本語フォーラム、日本語の Web 記事・YouTube 解説動画の量で QNAP を引き離しています。初心者が困った時に解決に辿り着きやすいのは Synology。
QNAP は日本語サポートはあるものの、Web 上の日本語情報は Synology の半分以下。トラブル時に英語フォーラムを読みに行く覚悟があるかが、選ぶ判断軸になります。
セキュリティ
両社ともランサムウェアの標的にされた経緯があります。QNAP は2021年の Qlocker、2022年の Deadbolt などで大規模被害が発生。Synology も無関係ではなく、過去にゼロデイ脆弱性が報告されたことがあります。
どちらも「自動アップデート有効・2要素認証必須・不要ポートを開けない」を徹底すれば、家庭用途で実害に遭うリスクは低めです。詳しくはランサムウェアからデータを守る方法を参照してください。
価格
体感では Synology が QNAP より1〜2割高い印象です。ただし「ソフトウェアの完成度・サポート品質」を含めて評価すると、価格差は妥当という見方もできます。
「とにかく安く NAS を始めたい」なら TerraMaster や Asustor も視野に入ります(TerraMaster の初期設定 / Asustor の初期設定)。
どちらを選ぶかの判断軸
家族写真の管理が主目的、家族みんなで使う、初心者、長く使う想定 → Synology
Docker・仮想マシン・Plex メディアサーバーを使い込みたい、自分で調べる覚悟がある、ハードウェア性能優先 → QNAP
「両方使い倒したい」なら、編集部のように家庭用 Synology + 業務用 QNAP の二台体制という選択肢もあります。
編集部の運用
家庭(家族写真メイン)は Synology DS1522+、業務(検証用)は QNAP TS-464 です。Synology はインストールして使い始めるまでが速く、QNAP は使い込むと深掘りできる。性格の違うメーカー、というのが3年使った結論です。
まとめ
Synology と QNAP は、どちらも「外れ」の選択肢ではありません。用途と性格で選べば長く付き合えます。NAS の規模感は無料の構成診断で確認できます。