2026年8月時点で、外付けSSDの実売価格は例年の2〜3倍に上がっています。原因は生成AI向けの需要でメモリの生産能力が奪われていることで、2026年内に元の水準へ戻る見通しは立っていません。容量を確保したいだけならHDD、持ち歩きや作業用に必要な分だけSSD、という買い分けが、この相場ではもっとも損をしにくい判断です。
この記事では、どれくらい上がっているのかを実売価格で示したうえで、「いま買うか・待つか」を決めるための材料を整理します。
どれくらい上がっているのか(2026年8月1日時点)
価格.comの最安価格で見ると、1TBクラスの外付けSSDは次の水準です。
| 商品 | 容量 | 最安価格 |
|---|---|---|
| SanDisk エクストリーム V2 | 1TB | 29,970円 |
| WD My Passport SSD | 1TB | 39,280円 |
| Samsung T7 | 1TB | 40,392円 |
| SanDisk エクストリーム プロ V2 | 1TB | 42,800円 |
| Samsung T7 Shield | 1TB | 51,090円 |
| Samsung T9 | 1TB | 51,090円 |
1TBの外付けSSDが1万円台で買えていた時期を知っていると、桁を見間違えたかと思う数字です。4TBクラスになるとさらに顕著で、Samsung T7 Shield 4TB は179,800円、Samsung T9 4TB は184,980円になっています。
なぜ上がっているのか
HBM(広帯域メモリ)とは、AIの学習・推論を担うGPUに直結して使われる高速メモリのことです。 標準的なDDR5メモリの3〜4倍のウェハー面積を使うため、メーカーがHBMを優先するとPC・民生機器向けの生産ラインが物理的に減ります。
この構造で、2026年はDRAMで最大63%、NANDで最大75%の値上げが起きました。「一時的な品薄」ではなく、生産能力の割り当てそのものが変わったことによる値上がりなので、需要が落ち着くまでは高止まりが続くと見るのが妥当です。
象徴的なのが、Micronが2025年12月4日に発表したコンシューマー向け事業からの撤退です。1996年から続いたCrucialブランドは終息し、出荷は2026年2月末まで。個人向けSSD・メモリの選択肢そのものが減りました。
HDDはSSDほど上がっていない
一方で、据え置き型のHDDは相対的に落ち着いています。
| 商品 | 容量 | 最安価格 | 1TBあたり |
|---|---|---|---|
| Seagate Expansion | 8TB | 39,980円 | 約5,000円 |
| WD Elements Desktop | 8TB | 56,800円 | 約7,100円 |
外付けSSDの1TBあたり約3〜5万円に対し、HDDは約5,000〜7,100円です。単価で7〜10倍の差があります。
3-2-1ルールで言うところの「2つ目の媒体」「複製先」は、速度より容量単価が効く用途です。ここをSSDで揃える必然性はほとんどありません。編集部としても、この相場では複製先はHDD一択だと考えています。3-2-1ルールの考え方は3-2-1 ルールとはで解説しています。
NASは「現行モデルを選ぶ」がいつも以上に重要
NASも影響を受けていますが、少し事情が違います。値上がりよりも旧モデルの流通が先に終わっていることの方が実害が大きい状況です。
2026年8月1日時点で、Synologyの2023年モデルは価格.comに価格情報が登録されていません。
- Synology DS224+ → 後継は DS225+(63,200円)
- Synology DS923+ → 後継は DS925+(129,300円)
- Synology DS1522+ → 後継は DS1525+(192,980円)
さらに DS423+ は在庫が薄く 198,800円 まで上がっており、後継の DS425+ が106,200円 で買えます。型落ちを狙うほど高く付く、という逆転が起きています。
安く始めたい場合は、UGREEN NASync DH2300(27,940円・UGREEN日本公式ストア)のような新興メーカーの入門機が現実的な受け皿になります。NAS本体の比較はNAS おすすめランキングにまとめています。
「いま買うか・待つか」の判断軸
待つべきかどうかは、いま守れていないデータがあるかどうかで決まります。
いま買うべき場合
- 複製が1つもない(バックアップを取っていない)データがある
- 仕事のファイルなど、失うと収入・信用に直結するものを扱っている
- 使っているドライブが5年以上経っている
この場合、値下がりを待つ数か月のあいだに故障する確率の方が、価格が下がる期待値より高くつきます。安いHDDでいいので、いま1本足すのが合理的です。
待ってよい場合
- すでに3-2-1が成立していて、容量に余裕がある
- 高速SSDが欲しい理由が「速いほうが快適だから」に留まる
- 買い替えたい機器がまだ現役で動いている
速度の快適さのために2〜3倍の価格を払うのは、この時期に限っては割に合いません。
高騰期にコストを抑える現実的な手
1. 複製先をHDDにする
前述のとおり単価が7〜10倍違います。バックアップ用途で速度が要る場面はほとんどありません。
2. クラウドの比重を上げる
ハードが高いときは、月額のクラウドで凌ぐ判断もあります。クラウド側は今回の高騰の影響をほとんど受けておらず、料金は据え置きです。買い切り型を選べば長期の固定費も抑えられます。詳しくはサブスク vs 買い切りクラウドを参照してください。
3. 容量を欲張らない
「どうせなら4TB」と考えると価格が跳ね上がります。いま本当に必要な容量に絞り、相場が落ち着いてから追加する方が総額は抑えられます。
4. NASは現行モデルを選ぶ
繰り返しになりますが、型落ちが安いという前提が崩れています。購入前に必ず現行モデルの価格を確認してください。
まとめ
2026年のSSD高騰は、AI向けの生産シフトという構造的な理由によるもので、待っても短期では戻りません。守れていないデータがあるなら、価格を理由に先送りしないこと。そのうえで、複製先はHDD、SSDは必要な分だけ、NASは現行モデル、という買い分けが有効です。
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